「なんだか最近やる気が出ない」「夜よく眠れない」「パートナーに当たってしまう」。
そんな変化を“年のせい”で片づけていませんか。
実は30代後半以降の男性に増えているのが、テストステロン低下による男性更年期障害(LOH 症候群)です。
放置すると生活習慣病やうつ状態につながることも。
本記事では、そんな男性更年期の主な特徴、発症の要因、医療機関で受けられる治療法をご紹介します。
目次
男性更年期障害(LOH 症候群)はなぜ起こる?
男性ホルモンの代表格テストステロンは、20 歳前後でピークを迎えたあと、年0.5〜1.0 %ずつ減少していきます。
テストステロンは筋肉や骨を強く保ち、意欲や集中力を後押しし、性機能を維持する重要なホルモンです。
そのため低下すると、3つの領域で不調が現れやすくなります。
- 精神面(イライラ・無気力・集中力低下)
- 身体面(ほてり・発汗・筋力低下・内臓脂肪の増加)
- 性機能面(勃起力低下・性欲減退)
テストステロンの低下を加速させる主な要因は、「加齢」に加えて「慢性的ストレス」「睡眠不足」「肥満・運動不足」「過度の飲酒・喫煙」です。
仕事や家庭で責任が増す40 代以降はストレスが高まりやすく、副腎が分泌するストレスホルモン(コルチゾール)がテストステロンの産生を邪魔するため、体感的な落ち込みが急に強まるケースも少なくありません。
何歳頃から注意すべき?
男性更年期障害が目立ち始める年代は〈40代後半〜50代前半〉で、厚労省の調査でも45〜54歳が受診のピークとされていますが、年齢はあくまで目安に過ぎません。
長時間労働や睡眠不足、暴飲暴食で内臓脂肪が増えるとテストステロンの低下は30代後半でも一気に進行します。
逆に週3回の運動と十分な睡眠を守る50代ではホルモン値が高く保たれることもあります。
このような初期サインに、三つ以上当てはまる場合は年代に関係なく赤信号です。
- 朝の勃起がほとんど無い
- 集中力が15分ともたない
- 顔のほてりや寝汗が増えた
- 腹囲85cm以上または体重が3年で5㎏以上増えた
また、周囲から「怒りっぽくなった」と言われるのも客観的な警告と受け止めるべきです。
これが主な症状! メンタル・身体・性機能への影響
男性更年期の症状は大きく「メンタル」「身体」「性機能」で現れます。
どれか一つでも当てはまれば、他の領域にも影響が及んでいる可能性大です。自覚症状と血液検査の両面から確認することで、原因を正しく把握できます。
1. 気分の落ち込み・イライラなど精神面のサイン
テストステロンは闘争心や挑戦心を後押しするホルモン。
その分泌が落ちると、やる気スイッチが入りにくくなります。
朝起きても妙にだるい、好きだった趣味に手が伸びない、同僚や家族にちょっとした言葉でカッとなってしまう。
これらはホルモンが低下しているサインです。
さらに睡眠の質も下がり、不眠→疲労→気分の落ち込みという負のスパイラルに陥りやすくなります。
こういった場合の対策として、脳内物質のセロトニンを整える軽い運動や日光浴を試してみましょう。
十分な休息に加え、ビタミンDや亜鉛を多く含む食材(サバ、卵、牡蠣など)を意識して摂取することも気分の回復に繋がります。
ただ、なかなか改善しないときは、泌尿器科やメンズヘルス外来でホルモン検査を受けるましょう。
2. ほてりや筋力低下など身体面のサイン
「顔が急に熱くなる」「汗が止まらない」といったホットフラッシュは女性の更年期症状のイメージですが、男性でも起こります。
気温に関係なく顔や首に突然の熱感(カーッと熱くなるような感覚)が生じ、シャツが汗で張り付く瞬間が増えたら要注意です。
また、テストステロンが低下すると、筋肉と骨を作る力が弱まるため、階段が辛い、重い荷物を持つと腰が痛いといった変化が出やすくなります。
内臓脂肪が増えて腹囲が目立つ、検診で中性脂肪や血糖値の急上昇もサインです。
こうした身体症状はメンタルの不調にも拍車を掛け、悪循環を生む原因になります。
ウォーキングやスクワットなどの中強度の運動を週2〜3回でも習慣化するだけで、テストステロンの分泌はゆるやかに回復し、筋力低下やメタボ進行を抑えられます。
さらに、睡眠中の成長ホルモンと連動してテストステロンは分泌されます。
寝る直前のスマホや寝酒は控え、眠りのゴールデンタイム(23時〜深夜2時)に熟睡することを目指しましょう。
3. 性欲低下や勃起不全など性機能のサイン
朝の勃起(朝勃ち)の回数が減った、性的な刺激を受けても反応が鈍い、射精時の快感が薄いなどの悩みはありませんか?
これらは年齢のせいと片づけられがちですが、男性更年期のサインです。
頻尿や排尿痛が並行している場合は前立腺疾患が潜んでいる可能性もあるため、自己判断は禁物です。
恥ずかしさから相談をためらう人が多いものの、専門医療機関ではオンライン診療や匿名相談窓口が整備されつつあり、第一歩を踏み出しやすい環境が整っています。
生活習慣の改善やホルモン補充で改善する例もあるため、「もう歳だから」と諦めずに選択肢を知ることが大切です。
症状を深刻化させるライフスタイル要因
・慢性ストレス
テストステロンと対をなすストレスホルモン「コルチゾール」が過剰に分泌されると、原料を奪い合う形でホルモン合成が阻害されます。
責任が増す40~50代は仕事・家庭ともにストレスフル。
緊張状態が長引くほどホルモン低下は加速するため、週に一度は“予定のない夜”を確保し、散歩や読書などで副交感神経が優位な状態に切り替えましょう。
・内臓脂肪の蓄積(肥満)
男性ホルモンは脂肪細胞内の酵素によって女性ホルモンに変換されます。
腹囲が増えるほど変換量が増え、悪循環でさらなるホルモン低下に陥ります。
目安はウエスト85cm以上。
タンパク質多めの食事と週150分の有酸素運動(早歩きや水泳)で「3%の減量」を目指すだけでもテストステロン値は上向くと言われています。
・睡眠不足・質の低下
テストステロン分泌のピークは深夜1~3時のノンレム睡眠中。
寝る直前までのスマホや寝酒は、浅い眠りを招き分泌を妨げます。
就寝90分前の入浴で深部体温を一度上げ、ブルーライトを避ける。
そんな小さな習慣がホルモン環境を立て直します。
医療機関で受けられる治療法まとめ
男性更年期障害の治療は、生活習慣の改善やホルモン補充療法(TRT)、漢方などです。
生活改善だけでは効果が見られない場合は、専門外来での検査と治療も視野に入れましょう。
また、血液検査で遊離型テストステロン値(FT値)または総テストステロン値(TT)が基準値より低いと診断されたら、症状や合併症リスクに応じて複数の治療を組み合わせます。
1. テストステロン補充療法のメリットとリスク
最も直接的なアプローチが注射または外用薬によるホルモン補充療法(TRT)。
2~4週間ごとの筋肉注射(エナント酸テストステロン)や、陰嚢に塗布するジェルで血中濃度を安定させます。
【メリット】
・3~4回の投与で「活力」「性欲」「筋力」の改善を実感するケースが多い
・うつ症状や骨密度低下の抑制など幅広い効果が期待できる
【リスク】
・赤血球増加による多血症、前立腺肥大の進行など副作用の可能性
・治療中は3カ月ごとにPSA(前立腺がんマーカー)と血液検査が必須
※持病でホルモン補充が難しい人や、将来子どもを望む人は慎重な対応が必要です。
2. 漢方薬・サプリを使ったサポート治療
軽症~中等症の場合や、ホルモン値は保たれているが自律神経症状が強い場合は、漢方薬やサプリを使用します。
- 補中益気湯:疲労感、気力低下に。胃腸が弱りやすい人向け。
- 八味地黄丸:頻尿や腰痛、冷えを伴う場合に。
- 加味逍遙散:イライラ、不眠、ホットフラッシュが気になる場合に。
亜鉛・ビタミンD・マカ・トンカットアリなどのサプリは不足を補う目的で有効ですが、過剰摂取は肝機能障害の恐れもあります。
医師の指導下、「足りない分だけ補う」目的で使用しましょう。
まとめ
男性更年期障害は、加齢だけでなくストレスや睡眠不足、肥満など日常の積み重ねで30代後半からでも表面化します。
テストステロンの低下は、やる気が出ない・ほてる・性欲が落ちるなど心身と性の三方面に影響し、放置すると生活習慣病やうつ、EDを招くことも。
発症者の平均年齢は40〜50代ですが生活習慣次第で前倒しにも後ろ倒しにもなるため、腹囲85cm超や朝立ち減少といったサインを見逃さないことが大切です。
適度な有酸素運動とタンパク質多めの食事でホルモン分泌を整え、週一の“オフ時間”で自律神経を休ませることが予防と改善の鍵です。
自己努力で足りない場合は、泌尿器科でのホルモン補充や漢方などの治療があります。オンライン診療も増えて検査は10分ほどで完了するので、年齢のせいと我慢せず専門家に相談しましょう。
男性更年期障害は症状がうつ病などと見分けにくい点も、医師の診断が重要になる理由です。
自分だけで判断せず、専門外来で検査を受けることをおすすめします。
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